2004/06/05

風化する天安門事件

昨日の記事で「天安門事件」のことを書きましたら、多くの方からメールなどでご感想をいただきました。ありがとうございました。
確かに日本の教科書に載っているほどの大事件であったわけで、この事件を身近で体験した者としてこれからも語り継いで行きたいと思います。

で、今日、会社で中国人のスタッフに「天安門事件」のことを聞いてみました。
・・・と言うか、「今日は何の日か知ってる?」と言う問いかけをしてみたのですが、ウチの若いスタッフ、「6月4日」ではまったくわからないのです。
彼は当時まだ12歳の子供だった・・・と言うこともあるし、広東省では北京で起こっていたことは報道規制で完全にシャットアウトされていたのかもしれませんが、若い中国人にとってこの事件の存在そのものがすっかり風化しているようです。
確かにこの15年間は、実質15年間以上の変化があったと思いますし、昔の話をしても信じてもらえないほどすっかり近代国家に脱皮をした中国ですが、この事件をきっかけにしてこの国が大きく動き出したと思っていますし、もし、この事件が起こっていなかったら、今の中国の姿になっていたかどうか・・・と言う仮説も興味のあるところです。
  
しかし、NHKのワールド放送で「ニュース10」を見ていたら、天安門事件から15周年と言うニュースが流れだしたのですが、当局の規制に引っかかったようで、いきなり画像・音声ともに止められてしまいました。こういうことからしても、中国と言う国にとっては、まだまだ癒えていない「傷」なのでしょうね。
  
この事件の起こる直前、1989年5月19日、天安門広場で座り込む学生たちに直接対話をして、その結果鄧小平の怒りを買って総書記の座を追われた趙紫陽は今年すでに84歳。つい先日、肺炎をこじらせて入院したと言うニュースが流れていましたが、この5月19日の天安門広場以来、公の席に一度も姿を現すことなく15年が経ってしまったわけで、彼の名誉回復は今後もなされることはないのか・・・と言うことは気になります。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004/06/04

「6・4」天安門事件から15年

今年も6月4日が巡ってきました。あれから15年・・・。
「6・4」、世に言う天安門事件で、1989年6月4日未明に民主化を求めて天安門で座りこみを続けていた学生などのデモ隊を人民解放軍が武力で鎮圧した事件です。
この事件での犠牲者は中国政府の発表では319人とされているそうですが、数100人から数1000人と言う説もあり、その実態は未来永劫わからないでしょう。

実はあの日、わたしたち家族は北京に住んでいたのです。
この事件は1989年4月15日に死去した胡耀邦元総書記の名誉回復を求めたデモがきっかけでしたが、日に日に街全体を覆う緊張感、そして、5月20日に出された戒厳令で銃を携えた人民解放軍の兵士が街に立つに至ってその緊張は極度に達し、われわれの日常生活にも影響を及ぼすようになって来ました。
この北京の様子はメディアによって海外にもリアルタイムで報道されていましたが、実は北京では一切の放送・報道がなされておらず、中央電視台テレビは普通の定時放送を続けていて、北京に住んでいるわれわれには何が起こっているのか、どうなっているのかさっぱりわかりませんでした。
当時、ごく一部の外国人用マンションにCNNの衛星放送を受信する設備が入っていて、そこに住んでいる方からの断片的な情報と、日本からの電話だけが頼りでした。
そして、戒厳令が出されてから15日後の6月4日未明、あの武力行使が行われたのです。
朝になって大使館から退去勧告が会社の連絡網で伝えられ、外出の自粛などが指示され、翌5日のフライトで日本に緊急帰国したのでした。
日本に帰ってきてはじめて知る事件の実態、全貌。あらためて無事に帰国できたことの安堵を感じるとともに、中国に残っている日本人の安否を思うにつけ焦燥感も大きなものがありました。

beijinghotel.jpgあれから15年、先日北京に行った折に事件現場のすぐ東に建つ北京飯店を訪れてみました。
夏の日差しをあびて美しい花が咲き誇り、噴水が涼しげな光景をかもし出していましたが、この建物は15年前に目の前で起こった光景を覚えているのでしょうね。

この一連の対応の責任を取らされる形で失脚した趙紫陽総書記は、後任の総書記となった江沢民が退いた今も名誉回復がなされておらず、胡錦涛を中心とした現在の指導部に課題として残されたままになっています。
いずれにしてもこの事件をきっかけに中国は大きく動くことになったわけで、こうしてかれこれ20年にわたって仕事でかかわってきた私にとって、この事件は生涯忘れることのない日でしょう。
そして、中国の民主化を夢見て犠牲になった人たちのことも忘れることはできないと思います。合掌。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2004/04/03

テロ対策の指紋登録

アメリカ入国審査時に行われている指紋の登録と顔写真の撮影を、同盟国である日本のパスポート所持者にも実施する予定とのニュースが流れていました。アメリカが同盟各国に10月からの導入を求めていたICチップ入りのパスポートが各国から総スカンを食らったことによる対応のようですが、あいかわらず自分勝手なことを取り入れてくるものです。
それでなくてもアメリカへの入国審査は厳しくなっているとのことですが、指紋や顔写真によって水際でテロリストの入国を防げるとでも思っているのでしょうか。
テロ活動はとどまるところを知らず、スペインの鉄道ではまたも爆発物が仕掛けられていたのが発見されたとかでこないだの通勤電車爆破テロを思い出させてしまいます。
先日Pちゃんのココログでも紹介されているように日本の鉄道でもテロ対策のポスターなどが貼られているようですが、日本でのテロ事件発生が近づいているのかなぁと思えて仕方がありません。

今回の戦争もお互いのイジの張り合いから恨みが増幅してさらにドロ沼化している・・・最近のアメリカの絡む戦争はいつもこのパターンで、犠牲は兵士だけにとどまらず一般市民にまで及んでいます。たしかにキレイ事ですまないからこそ実力行使があることもわからないではないですが、この「自己中心の正義」だけをベースに突き進んで相手の主義主張を理解しないアメリカに世界はあきあきしているのをいい加減に気がついてもらいたいものです。

| | コメント (5) | トラックバック (0)